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特集 第28回 花の命は限りなく

今日より明日
未来はさらに輝いて。

 

NYKNews Vol.28(2011年11月掲載)

 

ふとつけたテレビから流れてきた歌声に釘付けになりました。中尾ミエさんの、自身の名曲「片想い」。
中尾さんは時折テレビで見かけることがありますが、品の良いショートカットに、ドレッシーな衣装もサラリと着こなし、聞いているこちらがスカッとするような芯のあるコメントの数々…。格好良い先輩だなと、敬意と憧れを抱いて見ていました。
しかし、今テレビの中で歌っている歌手・中尾ミエはもっともっと素敵で、その輝きに圧倒されました。
曲がヒットしていた頃にも増して、艶のある豊かな声。心に語りかけるようなしっとりした歌声は、年齢を重ねたからこそのものなのでしょうか。
プロであり続けること。その努力たるや想像を遥かに越えるものかもしれませんが、それによって大輪の花を枯らすことなく、さらに大きく咲かせ続けることができるのだと感動しました。
曲の最後、画面の隅に中尾さんを含む「三人娘」のコンサートの告知が出、見ると近くの会場で次の日曜にあるということ。どうしてもライブで聴いてみたい衝動にかられ、早速チケットを手配しました。

 

中尾ミエさん・伊東ゆかりさん・園まりさんの「三人娘」は、来年結成五十周年を迎えるそうですが、コンサート会場の大ホールは、その「三人娘」と一緒に青春を歩んでらしたであろう男性とご婦人で満席。ご夫婦でいらしている方も多く、青春時代の幸せな未来がそこここに。

 

「まだ夢見てますか、まだ恋してますか、まだ歌ってますか…」軽快なメロディで幕が上がると、ブルー、ピンク、黄色のドレスに身を包んだ三人の姿が。広い舞台の上は、派手なセットもなく三人とバンドだけなのに、キラキラ眩しいほど。
まずは、それぞれのヒット曲から。もちろん中尾ミエさんの「片想い」も。テレビで見た時とはまた違う、魂をふり絞るかのようなドラマティックな歌唱に心が震え、涙が頬をつたいました。

 

コンサートは、楽しいおしゃべりをはさみながら、三人にゆかりの作詞家・安井かずみさんの名曲集や、ジャズのスタンダードナンバーと続きます。一曲一曲が上質なミュージカルを見ているよう。
しかし、やはり圧巻は「ヴァケイション」「ロコ・モーション」、そして「可愛いベイビー」などのアメリカンポップスメドレー。
私にとって「三人娘」といえばこれで、今まで何度となくテレビで見たり聴いたりしては、そのたびに三人ならではのおシャレで粋なハーモニーに魅了されていましたが、結成から五十年近くたった「今」この瞬間に聴く歌声が、今までで一番迫力があり、その上まろやかで美しいなんて!
年月を重ね、さらに輝きを増し続ける三人のステージに触れて「花の命は限りない」と嬉しく思い、優しい気持ちに包まれながら家族の待つ家に向かいました。

 

特集 第29回 まっすぐに

ひたむきに。
まっすぐに。

 

NYKNews Vol.29(2012年1月掲載)

 

高校一年生の息子が写真部に入っているので、時折高校生の写真展に足を運びます。
入部して初めての写真展に向かう時は、正直言いますと息子の作品だけちょっと見てこようというほどの気持ちでした。
しかし、美術館の地下のその会場に入ったとたん、力強いエネルギーが湯気のように沸き立つのを感じ、気が付くと息子の写真を探すのも忘れて、端から一枚一枚吸い寄せられるようにじっくり見ていました。

 

その時のテーマは「高校生」。
弁当を口いっぱいに頬張り笑顔がはじけるランチタイム。文化祭の準備をもくもくと続けるたくましい手。朝日を浴びながらベースを奏でる女子高生の後ろ姿…。どれもこれもかけがえのない瞬間。壁一面にびっしり展示された四ッ切りのパネルからは、楽しそうな笑い声や楽器の音が大音量で飛び出してきそう。
それぞれにドラマがあり、胸がいっぱいになるほどの感動に包まれながら、そうか!と思いました。今私の前にあるのは、若きカメラマンたちの純粋な瞳を通した高校生活。撮る側も撮られる側も青春真っ只中。どちらもひたむきで、まっすぐで。

 

また、ある時のテーマは「街」。
慣れ親しんだ心安らぐ風景や都会の喧騒、シーンと静まりかえった狭い路地。そして、駆け回る子ども、お年寄りの柔和な眼差し、立て掛けられたまま乗り手を待つ自転車…。
「街」ひとつで沸き上がる無数のインスピレーション。高校生の感性の豊かさに驚くばかりです。

 

ところで、息子は電車通学。家から駅までは歩いています。
私が「送っていこうか」と声をかけると「お母さん、ぼくの通学路は、季節によって時間によって表情が変わるんだよ。車でさあっと通り過ぎてしまうのはもったいないよ。ほらね」と肩から下げたカメラを降ろし、昨日撮った写真を見せてくれました。日が落ちたばかりのまだうっすらと青の残る茜色の空、橋の上の街灯がぽつぽつ灯り…。なんとも幻想的で美しい冬の夕暮れ。大人にはただ忙しく通り過ぎるだけの道も、それを愛しく思う瞳にはこんなにも優しい表情を見せてくれるのでしょうか。

 

写真展の会場に展示された何百枚という作品からは「今この瞬間を残したい、伝えたい」という、まっすぐな、溢れるほどのエネルギーを感じます。そして、それらを見ていると、ずっと忘れていた大切なものに再会したかのようにドキドキするのです。
今の私は、あの頃の瞳の前に胸を張って立てるかな。そんなことを自問自答すると、高校生の自分がにっこり笑ったような気がしました。

 

特集 第30回 確かな品質で

確かな品質を、確実に
届けるために。

 

NYKNews Vol.30(2012年3月掲載)

 

私のふるさとには、上質なお菓子屋さんがたくさんあります。
「上質」と言っても「高級な」という意味ではありません。ちょっとしたお土産やご挨拶にちょうどよいお菓子を並べているお店です。

 

和菓子あり、洋菓子あり。どれもこれも贈って喜ばれ、いただけば嬉しいものばかりですが、なかでも私が一番好きなのは、小豆餡のパイです。
幾重にも重ねられたパイ生地ならではのサクサク感を残しながら、しっとりなめならかな口当たり。餡にはほどよく砕かれた胡桃が絶妙なバランスで入り、その食感と上品な甘さは、美味しいものが溢れた今なお、私のザ・キング・オブ・スイーツです。

 

ふるさとには、まだまだ自慢のお菓子がたくさん。しかし、そのほとんどが私の子どもの頃には今の形、今の味で並んでいたなと思うと、当時の菓子職人さんたちのレベルの高さに敬意を抱きます。
そして、最近さらに「さすが!わがふるさと」と嬉しくなることが。
ある日、実家の菓子鉢に盛られたお菓子をひとつ手に取り、包みを開けるべく裏に返すと、そこに「賞味期限」が印字されていました。他にも地元の様々なメーカーのお菓子があったのですが、見るとその個包装ひとつひとつ全てに。
そのまま土産に持たせてもらいましたが「賞味期限」を確認することができたので、それから数日間安心して堪能することができました。

 

「賞味期限」や「消費期限」のある生活に慣れてしまいますと、それがないと少々不安になります。ましてや小さい子どもがいるとなおのこと。
箱や包みにはそれらの期限が必ず記されていますが、包みを開けてしまうとわからなくなってしまうことが多いものです。しかし、そういったお菓子はすぐには食べきれるものではありませんし、箱の中身だけをいただくこともよくあります。
包みを開けて食べる人ばかりでなく、それをいただく人、それがさらに違う手に渡り…。
販売してお仕舞いではなく、自分のお店のお菓子を口にする全ての人に美味しく、かつ安全に食べてほしい。個包装に小さく、しかしはっきり印字された「賞味期限」には、そんなお菓子屋さんの想いが込められているように思われました。

 

懐かしいお菓子を手にするたび、真面目で一生懸命なふるさとの気質に触れ、改めてふるさとを誇りに思うのです。

 

特集 第31回~第33回

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