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特集 創刊号 災害と水

今年3月25日に発生した「平成19年 (2007年) 能登半島地震」 。日本が地震大国であること、災害への備えの大切さ、難しさを改めて実感させられました。
本号の特集では“災害と水”をテーマに地震への備えを検証します。

NYKNews Vol.1(2007年5月掲載)

 

「能登半島地震」の発生から10日後の 4月4日、「避難所で『ノロウィルス』が検出された」と発表がありました。

 

ノロウィルスは昨冬日本中で猛威を振るった感染性胃腸炎を発症させるウィルスです。また、ノロウィルスによるものかは判明しなかったものの、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛の症状を訴えた人は、4つの避難所で計65人にのぼりました(4月4日石川県まとめ)。
被災地では不衛生になりやすく、あらゆる感染症の予防に欠かせない手洗い・うがいのための水が十分確保できないということがあらためて認識されました。

 

「災害に備え3リットル/日×人数×3日分の水が必要である」とよく言われていますが、それはあくまでも飲料水のことです。顔や手を洗ったり、うがい、調理、野菜・食器の洗浄、洗濯、そしてトイレの水などの生活用水は含まれてはいません。

 

全国で水道管の耐震化率は14%程度しか進んでおらず(NHK調査による)、大地震の際に給水管が破損し断水する可能性は非常に高く、たとえ蛇口から水が出たとしても、給水管が破損したところから雑菌が入っていることも考えられ、水質検査を行わなければ安心して使うことができません。
震災直後は電話が不通になって自治体
同士の連絡がとりにくくなり、また道路が寸断され給水車の到着はすぐには
期待できません。
ひとたび大地震が発生すれば上下水道の復旧に長い時間がかかります。たとえば、阪神淡路大震災の時、神戸市の断水は65万戸に及びましたが、通水率が50%まで復旧したのは大震災発生からおよそ 2週間後、また全戸に通水できたのは2ヵ月半後の3月31日でした。

 

断水して最初に困るのはトイレです。仮設トイレが、人数に対して十分な数が届くまで何日もかかります。また届いてもすぐにいっぱいになり使用できなくなるトイレもでてきます。
このためトイレをがまんしたり、水分を控えたりする人が多くなりますが、それでは脱水症状をおこし、心臓にも負担がかかって、「震災関連死」といわれる死亡原因になることさえあるのです。
普段は安全な水をふんだんに使えるのがあたりまえの毎日。しかし災害がおこれば、最も必要であるにもかかわらず手に入りにくくなり、そのため命に関わる事態を引き起こしかねません。

 

家庭でも日頃から飲料水に加え、生活用水の備蓄も必要となりますが、家庭で確保できる量は限られています。
平常時には難なく歩いていける距離であっても、災害時には避難所から離れた給水地点に水を取りに行くことが非常に困難になることが予想されます。
避難所となる学校や公共施設には常に
受水槽に水が貯えてあり、いざという時にはすぐに使えるということが期待されます。

 

 

特集 第2回 渇 水

水=生命、水は命の源です。
私たちはもっと真剣に水と向かい合わなければならないのかもしれません。
今回の特集は毎年この時期になると話題にのぼる“渇水”です。

NYKNews Vol.2(2007年7月掲載)

 

5月の下旬に福島を旅しました。
5月の福島は、若葉と山々の残雪が光り輝く季節。“種蒔きうさぎ”が見られるかと楽しみにしていました。
“種蒔きうさぎ”というのは、冬の間雪で真っ白に覆われた吾妻小富士が、春になって雪が溶けて、その残雪が麓から見るとうさぎの形に見えるもので、昔から、そのうさぎが種蒔きの季節になったことを教えてくれるということからそう呼ばれています。
今回はその"種蒔きうさぎ"どころか、あたりの山々にも残雪はほとんど無く、今年の雪の少なさをあらためて思いました。

 

積雪は、春になると溶けて水になる自然の貯水タンクですが、この冬日本列島は記録的な暖冬でしたので、早くからこの夏の渇水を懸念する声があがっていました。
渇水は自然現象である以上、回避することはできませんが、その影響を軽減することは可能です。

 

記憶に新しい西日本を中心とした平成17年の渇水では、四国地方の主要な水源である早明浦ダムの利水貯水量がゼロになったにもかかわらず、近年において最大の規模であった平成6年の渇水と比較しますと、その影響は小さく済んだと言われています。
これは、平常時から渇水に強い地域づくりに向けた取り組みを進めてきたためです。
例えば、香川県では水資源の有効利用を図るため、再生水利用下水道事業を実施して、トイレや冷却用水、樹木への散水等に利用しています。
また、各家庭の雨水貯留槽の設置に対して県や市町村が補助を行っているのです。
高松市では、地域毎にきめ細かく減圧調整を行うことができるようにするため、配水コントロール施設の更新を進めてきました。

 

このように、渇水も他の災害と同じように、平常時からの備えや対策が不可欠と言えるでしょう。
渇水時に初動態勢や連絡調整等、早期の対策を円滑に行えるよう、毎年渇水期に先立ち体制を調整確認しておくこと。
平常時から安定した水資源の確保に向け、施設整備を進めること。
水道管の漏水防止対策、下水再生水や雨水等の有効利用を推進し、平常時における水道使用量を減少させ、地域における水供給の安全性を向上させること。
行政や利水関係者、企業、そして個人が、それぞれのレベルで対応策を考え協力し合うことが、渇水に強い地域づくりにつながると考えられます。

 

私たちの生命や生活に欠かせない"水"について、日頃からひとりひとりが関心を持ち、"水"を大切に思うことが、渇水対策への第一歩と言えるかもしれません。

 

特集 第3回 環 境 -CO2削減のために-

日本では、家庭から出るCO2が全体の1/4を占め、また、飛行機・鉄道などの運輸部門においては、自家用自動車から排出するCO2がその48.9%を占めています。
今すぐできる地球温暖化対策を考えてみました。

NYKNews Vol.3(2007年9月掲載)

 

家の近くのスーパーマーケットには産直コーナーがあって、その日の朝採れたばかりの新鮮な旬の野菜が沢山並びます。その野菜たちは色も味も濃く、栄養もたっぷり。
夏の楽しみは、なんといってももぎたてのトウモロコシ。一粒一粒はちきれんばかりにピカピカに光っていて、その甘いこと!夏休みに"おばあちゃん"と一緒にもいだトウモロコシの味を思い出させてくれます。
例年なら太くて大きなトウモロコシが山のように並ぶのに、この夏の初めは梅雨がなかなか明けず、日照不足のためか、小さくて細いトウモロコシが数本出るだけ。粒も小さく張りがなく、味も薄い…
そんなトウモロコシを口に含み、お日さまのありがたさをかみしめました。

 

夏は夏らしく、冬は冬らしくと願いますが、なかなかそうはいきませんし、お天気ばかりはどうにもならないと思ってしまいます。しかし、このところの大型台風などを見ますと、私たちにも責任があると思わざるをえません。
やはり温暖化の影響で海水温が高くなり台風のエネルギーが大きくなってしまうとのこと。
私たちが二酸化炭素を排出し続けているせいで台風が大型化かつ強力化しているとなると、このままではいけないと焦りすら感じます。

 

とはいえ、ひとりであがいても、と消極的になってしまいますが、例えば"節約を楽しむ"と考えたらどうでしょう。

 

ガソリンはどんどん高くなる一方。ならば歩ける所は歩いていこう。
…週に約20㎞分を公共交通機関に切り替えると年間ガソリン代6,563円節約、CO2年間143.8㎏の削減。
暑い日は、エアコンのスイッチを入れる前に、まず扇風機をつけてみる。
…エアコン使用を一日一時間短縮し、さらに設定温度を夏は一度上げ、冬は一度下げると年間3,826円、CO2 60.0㎏削減。
使っていない電化製品の主電源&コンセントをチェック!家庭で消費する電力の約一割が待機時消費電力とのこと。
…待機電力を減らすだけで年間3,120円、CO2 48.7㎏削減。
マイバックを持ってスーパーへ。レジ袋削減になる上、スタンプがたまればお買い物券に。
こうして考えてみますと、ひとりひとりが少しずつ気を付けるだけで、CO2の排出をかなり抑えることができそうです。

 

子どもと手をつなぎ、買い物袋を持ってスーパーに歩いて行く。この柔らかで温かい小さな手の未来を守るのは私たち。
子どもたちやその子どもたちに少しでも安心で安全な未来を残さなければなりません。

 

おばあちゃんのトウモロコシを食べていた少年時代の夏休みにはもはや戻れませんが、扇風機や団扇で暑さをしのいだあの頃の生活を思うことが、地球温暖化抑制につながると言えそうです。

 

特集 第4回~第6回

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